大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)322号 判決

被告人 少年 N

弁護人控訴趣意について。

被告人は原審公判廷並びに捜査官に対してもすべて昭和七年一月一日生であると申立てていたので、昭和二十六年十一月十七日原審は同被告人を満十八歳に達したものと認定し少年法の適用を考慮しなかつたことは記録上顕著なところである。

しかるに弁護人提出の文京区長の証明書によれば同被告人は、昭和七年生ではなく昭和八年一月一日生であることが明白であるから原審判決時に於ても満十八歳に達していなかつたわけである。しかも昭和二十四年より施行された改正少年法第四十二条は「検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果犯罪の嫌疑があるものと思料するときは……これを家庭裁判所に送致しなければならない」と定めているから満十八歳未満の被告人の本件については検察官としては家庭裁判所に送致すべきであつて、家庭裁判所から更に「検察官に送致する」旨の少年法第二十条の決定を経ずして起訴するが如きは少年の健全な育成を目的とする少年法の規定に違反したため無効であるといわなければならないのである。然るに本件に於て右被告人につき家庭裁判所の決定を経たとは認められないのであるから同被告人に対する起訴の手続は無効であるから刑訴第三三八条によつて公訴を棄却すべきであるに拘らずこれを看過し同被告人に対し有罪の判決を言渡した原判決は失当であるから論旨は理由がある。

よつて本件控訴はいずれも理由があるから刑事訴訟法第三九七条に則つて原判決を破棄し、当裁判所に於て直ちに判決するに適当と認められるから同法第四〇〇条但書により更に判決することとし(中略)被告人に対する本件公訴はその起訴の手続が規定に反し無効であるから刑訴第三三八条第四号により右公訴を棄却すべきものである。

よつて主文の通り判決する。

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